遺産相続の手続 | 相続のご相談は相続専門事務所のみなみ司法書士合同事務所

遺産相続の手続の流れ

 

1.とつぜん遺産相続が起こったら!

 

 

相続がはじまると、突然の悲しみの中、あわただしく、たくさんの手続きが押し寄せてきます。

 

民法には、遺産相続についてつぎのような規定があります。

 

相続は、死亡によって開始する。(民法882条)

 

 相続人は、相続開始の時から、被相続人(亡くなった人)の財産に属した一切の権利義務を承継する。(民法896条)

 

このように、人の死亡によって相続が開始すると、亡くなった人の一切の権利や義務が相続人に引き継がれますので、「権利」に関する不動産の名義変更や「義務」に関する債務の返済など、多くの遺産相続の手続を行う必要がでてきます。

 

また、年金の届出や相続税の申告なども行う必要がありますので、はじめての相続では、とまどいを感じる方がほとんどだと思います。

 

さらに、相続をビジネスにしている事業者のなかには、過度に不安をあおり、「自分で相続手続をすることは非常に危険なこと」だと、半ば脅迫的な宣伝を行っている者もいます。

 

相続は、正しい知識を身につければ決して難しいものでも、危険なものでもありません。

 

また、相続の内容によっては、専門家に依頼したほうがいい手続もありますが、全ての手続を専門家に依頼しなければならない、というものでは決してありません。

 

大切なのは、重要なものとそうでないものをしっかりと把握し、正確な知識に基づいて自分で判断することだと思います。

 

これから、はじめて遺産相続を経験する方のための「道しるべ」として、遺産相続で必要となる手続の基本的な部分をご説明します。

 

手続の内容によっては、専門家に相談したほうが良いものもありますのが、そのような場合には、「○○士に相談することをお勧めします。」と記載しています。

 

不安や悲しみの中、相続の手続をしなければならない方のために、できるだけわかりやすく解説いたしますので、ぜひ最後までお読みください。

 

 

それでは、はじめさせていただきます。

 

 

 

2.まずは遺産相続の手続の順番を確認しましょう。

 

 

1.0日
ご臨終

 

2.死亡〜1日
病院で死亡診断書を受け取る。

 

3.死亡〜7日
死亡届、埋葬・火葬許可申請書を提出する。
※通常は、葬儀会社が代行して提出します。

 

4.死亡〜7日
通夜、葬儀・告別式、火葬
※葬儀会社から埋葬許可証を受け取ります。

 

5.死亡〜14日
役所・年金事務所で下記の諸手続を行います。
※事前に電話連絡し、必要書類を確認した上で、窓口に来所するとスムーズに手続を行うことができます。

 

@住民票の世帯主変更届
A年金の受給権者死亡届の提出
B年金の未支給年金の請求
C葬祭費・埋葬料の請求
D遺族年金、国民年金寡婦年金、国民年金、死亡一時金等に関する各申請

 

6.死亡〜3ヶ月
遺言書・財産・債務の調査

 

7.死亡〜3ヶ月
相続の承認方法の選択 ★重要

 

※財産よりも債務が大きい場合は3ヵ月以内に相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出します。
※手書きの遺言書がある場合には、家庭裁判所に検認申立をします。

 

8.死亡〜4ヵ月
準確定申告
※確定申告が必要な人が亡くなったら、相続人がかわりに確定申告を行います。準確定申告は、相続人全員により、亡くなった人の住所地を管轄する税務署に対して行います。

 

【確定申告が必要な人の例】
@個人事業主
A年金などの収入が年400万円を超えている人
Bアパートの賃貸収入がある人
C不動産を売却した人:

 

9.できれば10ヵ月以内
遺産の分割協議
※遺言書の有無、財産・債務の内容を調べた後に、相続人全員で遺産をどのように分けるかを決めます。

 

相続人全員の話し合いによって分割内容が決まったら、遺産分割協議書にまとめます。

 

仮に、相続人全員の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判によって遺産を分けることもできます。

 

話し合いがまとまらず、裁判の必要がある場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

10.死亡〜10ヵ月
相続税の申告と納税 ★重要
※遺産の額が相続税の基礎控除額を超える場合には、10ヵ月以内に相続税の申告・納税をする必要があります。

 

相続税の基礎控除額は、3000万円+(法定相続人の数×600万円)です。

 

よって、相続人が妻と子供3人の場合には、3000万円+(4×600万円)=5400万円となり、この場合、遺産※が5400万円以下の場合には、相続税の申告をする必要はありません。

 

※上記には、相続発生前3年以内の相続人に対する贈与や、相続時精算課税制度を利用した贈与の額が加算されます。
遺産の額が基礎控除額を超える場合には、税理士に相談されることをお勧めします。

 

 

 

3.主な遺産相続の手続き

 

ご家族が亡くなり遺産相続が起こると、亡くなった方や、相続人に関係する様々な手続きが必要となります。

 

以下では、主な遺産相続の手続をご紹介します。

 

※下記の各手続きのうち、は原則として全ての方が、は該当する方のみが必要な手続きとなります。

 

@  死亡届の届出・火葬許可証の取得 
期限  届出人が死亡の事実を知ってから7日以内
窓口  被相続人の本籍地か死亡地、または届出人の市区町村役場

 

A  相続放棄・限定承認の申述 ★重要
期限  相続人となったのを知ってから3ヵ月以内
窓口  被相続人の最後の住所地の家庭裁判所

 

B  被相続人の所得税の確定申告(準確定申告) 
期限  相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内
窓口  被相続人の最後の住所地の税務署

 

C △ 相続税の申告と納税 ★重要
期限  相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内
窓口  被相続人の最後の住所地の税務所

 

D △ 住民票の世帯主変更届け 
期限  14日以内
窓口  住民登録をしている市区町村役場

 

E  不動産(土地・建物)の名義変更手続
期限  遺産分割協議後できるだけ早く
窓口  不動産の所在地の法務局

 

F ○ 健康保険証の返却
期限  5日〜14日以内
窓口  市区町村役場又は健康保険組合等

 

G △ 自動車の移転登録手続
期限  遺産分割協議後
窓口  運輸支局または自動車登録事務所

 

H  預貯金・株式・証券の払戻し、名義変更手続
期限  遺産分割協議後できるだけ早く
窓口  各金融期間

 

I  生命保険金の請求手続
期限  2年以内(できるだけ早く)
窓口  生命保険会社

 

J △ 死亡退職金の請求
期限  できるだけ早く
窓口  勤務していた会社

 

K △ 電気・ガス・水道の使用者変更
期限  できるだけ早く
窓口  最寄の各営業所

 

L ○ 埋葬料・葬祭費の請求手続
期限  2年以内(できるだけ早く)
窓口  市区町村役場又は健康保険組合

 

M  未支給年金・遺族年金の請求手続
期限  5年以内(できるだけ早く)
窓口  年金事務所又は市区町村役場

 

N  高額療養費の請求手続
期限  2年以内(できるだけ早く)
窓口  市区町村役場又は健康保険組合等

 

O △ 自筆証書遺言がある場合の検認手続
期限  遺言書発見後できるだけ早く
窓口  被相続人の最後の住所地の家庭裁判所

 

P  クレジットカード・携帯電話・インターネット等の解約手続
期限  できるだけ早く
窓口  各営業所

 

 

 

4.遺産相続の手続で一番重要! 債務がある場合

 

被相続人の遺産の中に債務がある場合、そのまま相続をしてしまいますと、被相続人の一切の債務を負うことになり、場合によっては、自分の全財産をもって返済しなければならなくなることもあります。

 

この場合の債務とは、亡くなった方が第三者に負っている全ての債務であり、具体的には次のようなものがあります。
・銀行、消費者金融、クレジット会社からの借金
・個人からの借入れ
・病院代、家賃、物品の購入代金等の未払い
・税金の未払い
・連帯保証などの保証債務
・不法行為(交通事故・加害行為等)などによる損害賠償債務

 

亡くなった方にこのような債務がある場合は、早急に、債務の内容と財産の内容を調べてください。

 

仮に、プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが大きい場合には、「相続放棄(そうぞくほうき)」の手続を検討します。

 

この「相続放棄」をした場合は、法律上、「はじめから相続人ではなかった」ことになりますので、一切の債務を負わないでよいことになります。

 

ただし、はじめから相続人ではないことになるので、財産についても一切、相続できなくなります。

 

この相続放棄には、これを選択できる期限がありますのでご注意ください。

 

相続放棄の期限
自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月間

 

相続放棄の申立先
亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所

 

なお、子供や配偶者が放棄した場合は、亡くなった方の直系尊属(父母・祖父母等)が相続人となり、直系尊属が放棄した場合は、亡くなった方の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に死亡している場合はその子まで)が相続人になりますので、全員が順番に放棄をする必要があります。

 

相続放棄をする前に財産を売却したり、消費したり、譲渡したりした場合は、相続放棄をすることができなくなります。

 

※相続人に債務があり、相続放棄を検討する場合には弁護士または司法書士に相談されることをお勧めします。

 

 

 

5.遺産相続の手続で必要となる必要書類

 

上記のとおり遺産相続が起こると数多くの手続が必要となります。そして、大半の手続では、被相続人が亡くなった事実や、申請者が相続人である事実、遺産分割協議が有効に成立している事実等を戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などの書類で証明する必要があります。

 

要するに、たくさんの書類が必要となります。

 

必要書類の中でも、特に戸籍については、相続人の数や構成によってはかなりの数を集める必要があります。また、戸籍の記載を読み解きながら、その時々の相続法の規定を調べ、相続人を確定していかなければならない場合もあり、専門家でなければ困難な場合もあります。

 

※戸籍謄本の取寄せや、相続人・相続分の確定などが困難な場合は、司法書士に相談されることをお勧めします。

 

以下に、遺産相続の各手続で共通して必要となる書類をご紹介します。

 

□ 死亡診断書
取得場所   死亡した病院
必要通数   1〜2通

 

□ 住民票
取得場所   住んでいる市区町村役場
必要な部分  不動産を取得した相続人
必要通数   各1通

 

□ 除住民票
取得場所   亡くなった方が住んでいた市区町村役場
必要な部分  亡くなった人
必要通数   1通

 

□ 戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍
※同じ戸籍に入っている(記載されている)場合は1通の戸籍でかまいません。
取得場所   本籍のある市区町村役場
必要な部分  相続関係を証明するための全ての戸籍謄本
必要通数   各1通

 

例:被相続人父Aが死亡し、妻B、子CDが相続人の場合
必要戸籍:Aの出生から死亡までの全ての戸籍謄本BCDの現在の戸籍謄本

 

例:被相続人父Aが死亡し、次に母Bが死亡、子CDが相続人の場合
必要戸籍:A、Bの出生から死亡までの全ての戸籍謄本CDの現在の戸籍謄本

 

例:被相続人Aが死亡、子、配偶者なし、Aの父母BCは既に死亡、兄弟Dが相続人の場合
必要戸籍:ABCの出生から死亡までの全ての戸籍謄本Dの現在の戸籍謄本

 

□ 印鑑証明書
取得場所   居住している市区町村役場
必要な部分  相続人全員
必要通数   各1通

 

□ 預金・株式の残高証明書
取得場所   各金融機関
※相続税の申告をする場合に必要となります。
必要通数   各1通

 

 

遺産相続の手続に関する基本的なご説明は以上のとおりです。手続の中には、年金や埋葬料、預金等の比較的簡単なものから、不動産の名義変更、裁判所への申立、相続税の申告など、専門家に依頼しなければ難しいものまで様々なものがあります。

 

多くの方にとって、相続は何度も経験することではありませんので、いざ相続が始まると、とまどいを感じる方がほどんどだと思います。

 

・突然の相続でとまどいを感じているご家族の方、
・何から手をつけてよいかわからない方、
・親族との関係でお悩みの方、
・相続を放棄すべきかどうか迷っている方、
・ご家族だけでは遺産の話がしづらい方

 

など、遺産相続でお悩みの方はお気軽にご相談ください。私共の活動が皆様の幸せな生活の一助になれば幸いです。

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