貸付事業用宅地の特例とは、相続開始の直前から相続税の申告期限まで、被相続人等の貸付事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場超及び準事業など)の用に使用されていた土地(または借地権等)を、次の要件に該当する被相続人の親族が取得した場合に、200uまでの課税価格を50%減額することができる制度です。
相続人は子供4人、財産は貸付事業用の土地以外にないと仮定すると
相続税は、(1億円−5400万円)×20%−200万円=720万円にもなります。
しかし、上記につき貸付事業用宅地の特例を適用した場合、
200uまでの評価額が50%減の5000万円となる結果、相続財産は
基礎控除(5400万円)の範囲内に収まるので、相続税は0円になります。
※対象となる小規模宅地が複数ある場合は、複数の土地の適用が可能ですが、適用面積については下記の制限があります。
特定居住用宅地(330uまで)と特定事業用宅地(400uまで)は併用可能
貸付事業用宅地と他の種類の小規模宅地は併用不可
※被相続人の生前に相続時精算課税による贈与によって取得した土地については、この小規模宅地の適用を受けることはできません。
※土地には土地の上に存する権利(借地権など)も含みます。
1.被相続人の貸付事業の用に供されていた土地(又は借地など)を相続又は遺贈により取得する場合
@相続開始の直前において、
A被相続人が貸付事業の用に供していた宅地(または借地等)について、
B被相続人の親族が相続税の申告期限までにその貸付事業を承継し、かつ、申告期限までその貸付事業を継続しており、
Cその土地(又は借地など)を申告期限まで所有している場合
2.被相続人と生計を一にする親族が貸付事業の用に供していた土地(または借地等)を被相続人の親族が取得する場合
@相続開始の直前において
A被相続人と生計を一にする親族が貸付事業の用に供していた宅地(または借地等)について、
B申告期限までその貸付事業を継続しており、
Cその土地(または借地等)を申告期限まで所有している場合
1 分割の要件(未分割の土地は適用を受けられません)
@ 特例の対象となる土地が
A 相続の申告期限までに
B 相続人間の合意により分割されていること。
※この特例は、相続税の申告期限までに、特例の対象となる土地の分割がなされていない場合には、適用を受けることができません。
※相続税の申告期限までに分割できない場合でも、申告期限から3年以内に分割できた場合には特例を適用することができます。
さらに、3年以内に分割されなかった場合でも、一定のやむを得ない事情があるときは、税務署長の承認を受け、その宅地の分割ができることとなった日の翌日から4ヵ月以内に分割された場合には、適用を受けることができます。
2 申告手続の要件(特例を受けるためには、税金がゼロでも申告が必要です。)
@ 相続税の申告書に
A 小規模宅地の特例を受ける旨を記載し、
B 特例計算に関する明細書および
C 一定の書類を添付して提出しなければならない。
※小規模宅地の特例を受けるためには、この特例の対象となる宅地、または特例対象株式、特例対象山林を取得した全ての者の同意が必要となります。
1.特定居住用宅地の小規模宅地特例について、別居親族に係る小規模宅地の特例に以下の要件が追加されました。
(追加された要件:要件厳格化)
イ 相続開始前3年以内に国内にある自己の3親等内の親族または特別の関係がある法人が所有する家屋に居住したことがないこと。
ロ 相続開始時に居住している家屋を過去に所有したことがないこと。
2.貸付事業用宅地の小規模宅地特例について、以下の要件が追加されました。
(追加された要件:要件厳格化)
イ 相続開始前3年超 特定貸付事業を行っている場合
・貸付事業を始めた時期にかかわらず、すべて特例の対象となる。
ロ 相続開始前3年超 特定貸付事業を行っていない場合
・相続開始前3年超前に貸付事業の用に供された宅地等は特例の対象となる。
・相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等は対象とならない。
ハ 上記にかかわらず、平成30年3月31日までに貸付事業の用に供された宅地等は特例の対象となる。
3.特定居住用宅地の小規模宅地特例について、以下のとおり範囲が拡大されました。
(範囲が拡大の内容:要件緩和)
イ 介護医療院入居についても小規模宅地の適用可能となりました。
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