孤独死が起こった不動産を賃貸したり売却したりするとき、取引相手に孤独死を「告知」しなければならないのでしょうか?
法律上「告知義務」が認められるケースもあるので注意が必要です。
今回は孤独死の告知義務がどのような場合に発生するのか、告知しなかったらどのようなリスクが及ぶのかみてみましょう。
孤独死が起こった物件を相続された方はぜひ参考にしてみてください。
不動産を賃貸・売却する際には、相手に対して物件の抱える欠点(問題点)を告げる必要があります。物件の問題を知らなければ、相手は取引に入るべきかどうか適切に判断できないからです。
過去に物件内で人が死亡した場合、通常であれば「あまり入居したくない(賃貸の場合)」、「購入したくない(売買の場合)」と考える人が多いでしょう。
このように人間の「心理的な抵抗要因となる欠点」を「心理的瑕疵」といいます。
物件に重大な心理的瑕疵がある場合には、契約前に相手に告げなければなりません。これを「心理的瑕疵の告知義務」といいます。
心理的瑕疵の告知義務を怠ると、取引相手から契約を解除される可能性があります。
相手が損害を受けた場合には損害賠償請求をされるケースも考えられます。
告知義務と宅建業法の重要事項説明義務の関係
宅建業法35条では、不動産業者は不動産の借り手や買い手に物件についての「重要事項」を説明しなければならないと規定されています。この条文には明確に心理的瑕疵について言及されていません。
実は宅建業法35条はあくまで「例示」と理解されており、ここに書かれている以外の事項であっても重要なポイントは説明しなければなりません。
心理的瑕疵の告知義務が及ぶ場合には、宅建業者としても取引相手にきちんと告げるべき義務を負います。
法律上、物件内で発生した孤独死についても告知義務が発生する場合があると理解されています。
ただしすべてのケースで告知義務が発生するわけではありません。自然死であればショックは小さいでしょうし、早期に発見されて適切に処置されれば物件が汚れることもなく、さほど神経質になる必要がないためです。
一方で、以下のような孤独死のケースであれば告知義務が発生する可能性が高くなります。
1 孤独死してから遺体が発見されず長期間が経過した
自然死であっても、死亡から長時間が経過すると遺体が傷み、物件内部が汚れたり臭いがついたりするものです。特殊清掃が必要になるケースもあるでしょう。そういった場合には告知義務が発生すると考えるべきです。
2 自殺した
死後すぐに発見された場合であっても、孤独死の原因が自殺であった場合には告知義務が発生すると考えられています。
3 火事や殺人
放火や殺人などの事件によって人が死亡した場合には告知義務が発生すると考えられています。
孤独死の告知義務が発生すると、いつまで義務が及ぶのでしょうか?
告知義務の生じる期間は個別のケースによって異なります。
一般的には売買の場合より賃貸の場合の方が短くなる傾向があります。また重大な事故が起こった場合には長期に渡って告知義務が及びますし、自然死であれば比較的短期間となります。
目安でいうと、賃貸の場合に最低3年、売買なら最低5年程度といえるでしょう。
なお孤独死が発生しても「一度他の人が入居した」ら、告知義務はなくなると考えられています。
たとえば孤独死が起こった後、物件の「借り手」がついて入居した場合、その人が退去した次の人には告知する必要がありません。
孤独死が発生した物件を賃貸活用したり売却したりする際には、告知義務に配慮しましょう。自己判断で対応すると、後に取引相手から「心理的瑕疵」を主張され、トラブルになるリスクも高くなります。
安全な方法で物件の売却や活用を進めるため、専門知識を持った司法書士までお気軽にご相談ください。
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