もしもひとり暮らしの親や叔父などの親族が「孤独死」してしまったら、どのように後始末をすればよいのでしょうか?
賃貸住宅であれば大家と話し合って家賃や原状回復費用などを清算する必要もあります。
遺産の整理もしなければなりません。
今回は相続人様向けに孤独死の後始末の流れや方法を解説します。
人が孤独死した場合、すぐに相続人に連絡が来るとは限りません。
そもそも死後、数日間発見されないケースが多いからです。
大家や近隣住人が発見した後も、誰が相続人かわからないケースが多く、連帯保証人に親族関係を尋ねたり警察に相談したりして、相続人を突き止めるための時間がかかります。
相続人が明らかになり、ようやく警察、役所の担当者、大家などの関係者から相続人に連絡が来ます。
どうしても相続人が見つからない場合、兄弟姉妹などの別の親族に連絡が来て対応を求められる可能性もあります。
親族の孤独死の連絡を受けたら、以下のような流れで後始末に対応しましょう。
但し、「相続放棄」を選択する可能性がある場合には、必ず事前に専門家に相談してください。
1 遺体の確認
比較的早期の段階で相続人に連絡があった場合、遺体の確認を求められる可能性があります。
死亡した親族と長年会っていない場合や死後数日が経過していると、生前の印象とは異なり、動揺される相続人の方も少なくありません。
2 死亡届と葬儀
死亡診断書や死体検案書を受け取ったら、役所へ持参して死亡届を提出しましょう。
死亡届は基本的に「死亡後7日以内」に提出しなければなりません。
孤独死の場合、死後数日が経過してから連絡を受けるケースも多く、死亡診断書を書いてくれる医師を探すのに難儀されるケースも多々あります。
できるだけ急いで対応しましょう。
死亡届を出したら葬儀や火葬を行います。
3 部屋の清掃
孤独死した場合には必要に応じて部屋の清掃を検討します。。
ただ清掃の際には直接の汚染箇所(ベット、布団など)を撤去する必要性もありますし、消臭なども行う必要があり、相続人の方が自分で対応するのは困難となるでしょう。
通常は「遺品整理業者や特殊清掃業者」という専門業者を手配する必要があります。
遺品整理業者や特殊清掃業者については、一部に相続人の窮状につけこんで高額な費用を要求したり、勝手に室内の物を持ち出したりする悪質な業者も存在しますので、その選定には注意する必要があります。
4 賃貸借契約の清算
亡くなった方が賃貸住宅を借りていた場合、賃貸借契約の清算も行わねばなりません。
滞納家賃があれば、相続人にも法的な支払い義務が及びます。ただし保証会社や連帯保証人がついていれば、支払ってもらえる可能性があります。
原状回復については、遺品整理業者に依頼して残置物の撤去をして明け渡しをしましょう。大家がフルリフォームを希望する場合、費用については基本的に相続人が負担する必要はありません。
5 遺品の受け取り
部屋の中に遺品が残っていた場合、物件を明け渡さねばならないので、そのままにしておくことはできません。
持ち帰って遺品の整理をしましょう。
6 相続放棄の検討
もしも亡くなった方に借金などの負債があって、明らかに財産よりも負債が多い場合には、相続放棄を検討します。
相続放棄をすれば、負債を一切相続せずに済みます。
ただし預貯金や動産などの遺産を少しでも受け取ったり処分したりすると、相続放棄はできなくなります。
相続放棄には「3ヶ月」の期限もあるので、早めに対応しましょう。
※孤独死が発生した不動産は「それほど減額せずに普通に売却することができます。」相続放棄を検討する際は、必ず財産と債務の調査を行った上で決めることをお勧めします。詳しくはこちらのページをご覧ください。→
7 相続手続き
遺産を受け取る場合、引き続いて相続手続きを進める必要があります。
相続人調査、相続財産調査、遺言調査を行い、相続人が複数いるなら遺産分割協議をします。
遺産分割の方法が決まったら、速やかに名義変更などの相続手続きを行いましょう。
亡くなった方が持ち家で孤独死した場合には、大家との賃貸借契約の清算は不要です。ただしこの場合でも清掃や直接の汚染箇所の除去等はしなければなりません。相続人が自分で対応するのは難しいので専門の業者に依頼しましょう。
また相続した不動産を売却する際には、孤独死が起こった事実を買主に告知すべきケースもあり、注意が必要です。
スムーズに孤独死の後始末を進めるためには、法律家によるサポートを受けておくと安心できます。
当事務所では親族が孤独死された方への後始末や遺産相続のサポートに専門的に取り組んでいます。お困りの際にはお気軽にご相談ください。
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