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養子縁組をして法定相続人を増やすことで、相続税を減らすことができます。
具体的には、
(1)基礎控除の増加
養子1人につき600万円増加
(2)超過累進税率の緩和
相続人が増えることにより税率自体が下がります。
(3)非課税限度額の増加
生命保険金控除 養子1人につき500万円増加
死亡退職金控除 養子1人につき500万円増加
(4)相続財産承継の世代とばし
孫を養子にして、財産を孫に相続させることにより、相続を1回とばすことができます。
※孫を養子にした場合は、相続税の2割加算の対象となります。
※税務上、控除が受けられる養子の数は、実子がある場合は養子1人まで、実子がない場合は養子2人までに制限されます。
例えば、資産10億円で子2人の場合、孫以外の養子を1人増やすと、約2200万円相続税が減少します。
このように、養子縁組をすることで相続税を減らすことができます。
但し、養子といえども、法律上は「実子と同じ権利」を持つので、遺産分割協議に参加する権利や、遺留分の権利を有することになり、そのことが原因で思わぬトラブルが発生することもあります。
そのため、養子縁組をする際には、そのメリット・デメリットを良く理解した上で慎重に検討する必要があります。
小規模宅地の特例とは、被相続人の家族が住んでいた自宅や、被相続人の事業のために使用していた敷地等を、相続税の納税のために売却することがないよう、一定の要件のもと、該当する財産の課税価格を大幅に減額することができる制度です。
小規模宅地の特例の概要
1.相続開始直前において被相続人等の「事業の用」に供されていた宅地等個人の事業用・・・400uまで80%減額できます。
法人の事業用・・・400uまで80%減額できます。
不動産貸付等の事業用・・・200uまで50%減額できます。
2.相続開始直前において被相続人等の「居住の用」に供されていた宅地等
被相続人の居住用・・・330uまで80%減額できます。
被相続人と生計を一にし
ていた親族の居住用・・・330uまで80%減額できます。
※要件に合致する事業用宅地(貸付用除く)と居住用宅地は併用して適用することができます。
400u+330u=730uまで80%減額できます。
※適用の要件
(1)相続税の申告をすること。
※適用の結果、相続税がかからない場合でも申告は必要となります。
(2)遺産分割協議(又は生前贈与、遺言)などで、取得者が確定していること。
※遺産分割協議で争っている場合など、取得者が確定していない状態では、適用を受けることはできません。(但し、救済規定あり)
(3)小規模宅地の特例の適用を受けられる宅地を相続した全ての相続人の同意があること。
(4)相続税の申告書に小規模宅地の特例に関する記載があり、必要な添付書類があること。
小規模宅地の特例は、適用を受ける土地の「面積」についての制限はありますが、適用を受ける土地の「価格」についての制限はありません。
よって、仮に居住用宅地(330u)と事業用の土地(400u)とで100億円の土地について適用を受けると、実に80億円もの課税価格を減額することができます。
但し、この制度は、適用要件が細かく規定されていますので、利用を検討する際には、1度は税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
平成29年2月28日 最高裁判所判決 平成28(行ヒ)169号
(事案)
本件は、相続財産である土地の一部を私道として減額し、相続税の申告をしたところ、税務署は、これを宅地(貸家建付地)として評価すべきであるとして更正処分等を行ったため、その取消を求めた事案である。
(原審 東京高等裁判所の判決 平成28年1月13日判決)
原審は、下記のとおり、税務署側の各処分は適法であると判断し、納税者側の請求を棄却した。
1.建物敷地の接道義務を満たすために建築基準法上の道路とされるものは、道路内の建築制限や私道の変更についての制限があるのに対し、所有者が事実上一般の通行の用に供しているもの(注:建築基準法上の道路ではない単なる私道)は、私道を廃止して通常の宅地として利用することも可能であるから財産評価基本通達にいう私道とは、その利用に上記のような制限があるもの(注:道路以外に利用できない土地)を指すと解するのが相当である。
(最高裁判所の判断 平成29年2月28日判決)
高等裁判所の判断に対し、最高裁判所は下記のとおり判断し、上記判決を破棄して高等裁判所に差し戻した。
1.相続税に係る財産の評価において、私道の用に供されている宅地につき相続税が減額されるべき場合は、建築基準法等の法令によって制限が課されている場合に限定する理由はなく 〜〜〜 当該宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、当該宅地の客観的交換価値に低下が認められるか否か、また、その低下がどの程度かを考慮して決定する必要があるというべきである。
したがって、本件各私道につき、上記の点について更に審理を尽くさせるため、本判決を原審(高等裁判所)に差し戻すこととする。
以上のとおり、最高裁判所は、私道として利用されている土地について、建築基準法等の法令によって何らかの制限が課されている場合だけではなく、その他の諸状況によって土地としての価値が減額している場合にも私道として相続税が減額される可能性があると判断しました。
お役所の杓子定規ではない、実態に即した妥当な判断だと思います。
平成27年1月1日以降の相続から相続税の基礎控除が4割引き下げられました。そのため、相続税の節税対策として生活費や教育費の一括贈与の制度が注目されています。
1.直系尊属からの教育資金・結婚・子育て資金の一括贈与
「教育資金」や「結婚・子育て資金」に充てるために、その直系尊属が金銭等を出して金融機関に信託した場合には、下記金額を限度として、贈与税が非課税となります。
(1)教育資金の一括贈与
期間 平成25年4月1日〜平成31年3月31日
受贈者の対象年齢 30歳未満
限度額 1500万円
※但し、学校以外に支払う金銭については500万円が限度
申告方法 金融機関に信託口座を開設し、金融機関を経由して申告書を提出
使用例 入学金、授業料、学用品の購入、給食費など
(2)結婚・子育て資金の一括贈与
期間 平成27年4月1日〜平成31年3月31日
受贈者の対象年齢 20歳以上〜50歳未満
限度額 1000万円
※但し、結婚費用として支払う金銭については300万円が限度
申告方法 金融機関に信託口座を開設し、金融機関を経由して申告書を提出
使用例 挙式費用、家賃、敷金、転居費用、子の医療費など
2.扶養義務者からの生活費・教育費の贈与
上記以外にも一般的な規定として、親や配偶者などの「扶養義務者」からの生活費や教育費の贈与について、通常必要と認められるものについては贈与税が非課税となります。
扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、三親等内の親族で生計を一にする者をいい、別居でもこれに該当します。
なお、贈与税の課税対象とならない生活費・教育費は、「必要なつど直接これらの用に充てるために贈与した財産」であり、数年間分の生活費や教育費を一括して贈与した場合には、贈与税の課税対象となる可能性がありますので注意が必要です。
全相続財産に占める土地の割合は、国税庁資料によれば実に50%近くにもなりますが、土地の評価方法には様々な特例や手法があり、評価する税理士によって相続税の評価額が大きく異なることがあります。
税金の専門家である税理士の中には、法人税を主に取り扱い、相続税には慣れていない税理士も数多く存在しますので、すでに申告納税を済ませた財産の評価を別の税理士が行ったら実は税金を多く納め過ぎていたということもよくあります。
仮に、既に納税を済ませた相続税の評価が、評価方法の誤りや見解の相違等で過大に評価されていた場合には、相続税の申告期限から5年以内であれば、更正の請求をすることにより申告をやり直すことができます。
更正請求の結果、前回の申告よりも低い税額が認められた場合は、納め過ぎた税金が還付されます。
土地の評価は非常に奥が深く、税務署の担当官や税理士の間でも意見が分かれることが少なくありません。そのため、相続財産の中で土地の占める割合が大きな場合や相続の評価額よりも流通価格が低い場合などは、過大な税金を納めないためにも資産税に強い税理士に依頼することをお勧めします。
以下に、土地評価の減額が比較的大きくなるケースをご紹介しますので、参考になさってください。
【土地評価の減額が大きくなるケース】
1.道路に接していない土地。建物を建築できない土地
2.敷地と道路の間に水路がある土地
3.不整形な土地
4.高低差や崖等がある土地
5.4m以下の道路に接しており、セットバックが必要な土地
6.嫌悪施設や線路等に接している土地
7.高圧線が通っている土地
8.計画道路の予定地
9.広大地
※宅地として開発する場合に開発道路が必要となる土地など
10.市街地の山林
11.農地
12.市街化調整区域内の土地
13.利用するにあたって著しく不便な土地など
平成25年までの規定では、親の土地に建物を建てて、1階が親、2階が子の二世帯で居住する二世帯住宅について、建物内部に内階段がなく、建物内部で行き来ができない構造の場合には、「同居」とはみなされず、親の居住する部分に対応する敷地部分しか小規模宅地の特例の対象となりませんでした。
しかし、平成26年1月1日の相続からは、外階段型の二世帯住宅においても「同居」とみなされ、親・子両方の居住部分について小規模宅地の特例が適用できるよう要件が緩和されました。
ただし、建物の親居住部分と子居住部分を「区分登記」している場合には、「同居」とはみなされず、親居住部分に対応する敷地しか特例の対象とならなくなる可能性がありますので、二世帯住宅を建てる際には、親単独名義とするか親子共有名義とするのがよいでしょう。
なお、適用面積については、平成26年12月31日までが240u、平成27年1月1日以降の相続からは330uに拡大となります。
評価減割合は、従前と変わらず80%となります。
相続税の申告期限は相続開始から10ヵ月以内です。それまでに分割がまとまらない場合は、相続税等に様々な影響が出てきます。
以下にその一例をご紹介いたします。
1.小規模宅地の特例が適用できない。
申告期限までに分割が確定しない場合、事業用と居住用の土地については80%貸付事業用の土地については50%の評価減となる「小規模宅地の特例」の適用を受けることができません。
※申告期限から3年以内に分割が確定した場合は、原則として遡って適用を受けることができます。
2.配偶者の税額軽減を受けることができない。
申告期限までに分割が確定しない場合、配偶者の法定相続分または1億6000万円までは相続税がかからない「配偶者の税額軽減」を受けることができません。
※申告期限から3年以内に分割が確定した場合は、原則として遡って適用を受けることができます。
3.その他
「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」
「物納や延納による担保提供」
「非上場株式の相続税の納税猶予」
「農地等の相続税の納税猶予」
などの適用も未分割の状態では困難となりますので、遺言書の作成や、申告期限内の分割協議の成立がとても重要となります。
借地権の相続税評価は以下のとおりになります。
借地権= 路線価額×借地権割合
土地の底地の相続税評価は以下のとおりになります。
底地 = 路線価額×(1−借地権割合)
上記のとおり相続税法(通達)では、
借地権 + 底地 =更地の価格 になります。
しかし、借地権や底地を個別に売却した場合の価格(時価)は、借地権が更地価格の3割程度、底地が更地価格の2割程度 にしかならず、両方を足しても 更地価格の半値程度にしかなりません。
このことから、相続税法(通達)による借地権、底地の評価は時価よりも大幅に高く設定されているといえます。
そのため、多くの底地を有する地主の方は、自己が有する底地の相続税評価額、相続税額、売却する場合の売却可能額を事前に計算し、十分な時間的余裕をもって相続税の対策を立てられることをお勧めします。
1.祭祀関係財産
墓地、仏壇、祭具、墓碑など
2.死亡退職金
相続人が受け取った死亡退職金のうち、下記金額までは非課税
500万円×法定相続人の数=非課税
3.生命保険金
相続人が受け取った生命保険金のうち、下記金額までは非課税
500万円×法定相続人の数=非課税
4.寄付金
相続税の申告期限までに、国、特定の公益法人・非営利活動法人、地方公共団体に寄付した財産
5.心身障害受給金
心身障害共済制度にもとづく受給権
平成24年税制改正で延長された「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税規定」をご紹介します。
贈与者 受贈者の直系尊属
受贈者 贈与の年の1月1日において20歳以上
その年の合計所得金額 2000万円以下
平成25年 省エネ・耐震住宅 1200万円
上記以外の住宅 700万円
平成26年 省エネ・耐震住宅 1000万円
上記以外の住宅 500万円
家屋の新築、建売住宅の購入、中古住宅の購入、家屋の増改築、住宅用地取得の為の金銭贈与も対象になります。
対象住宅の床面積は、登記簿上で50u以上240u以下となっています。
贈与税の期限内申告書の提出が必要となります。
この規定適用の贈与は、「相続開始前3年以内の贈与財産の相続財産加算規定」の適用がありませんので、活用すると大きな節税効果があります。
長年連れ添った配偶者に対する、居住用の土地・借地権・建物の贈与、または居住用不動産購入資金の贈与については、以下の要件のもと2000万円まで贈与税が課せられません。
【要件】
1.婚姻期間が20年以上であること。
2.贈与を受ける配偶者は、贈与を受ける年の前年以前にこの特例の適用を受けていないこと。
3.贈与する財産は、居住用の土地・建物・借地権または居住用不動産を購入するための金銭であること。
4.贈与の目的物が居住用不動産である場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその配偶者が居住し、かつ、その後も引き続き居住する見込みであること。
5.贈与の目的物が金銭である場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住用不動産を購入し、その配偶者が居住し、その後も引き続き居住する見込みであること。
この特例の詳細についてはお気軽にお問い合わせください。
相続で取得した土地を、相続税の申告期限から3年以内に売却した場合には、相続した土地すべてに係る相続税を土地の取得費とすることができ、その結果、譲渡所得税を減額することができます。
この特例を「相続税の取得費加算」といいます。
例えば、
土地A 10億円
土地B 10億円
土地C 10億円 (A〜Cの相続税10億円)
の場合に土地Aを10億円で売却すると、下記のとおり所得税はゼロとなります。
売却価額10億円−相続税の取得費加算10億円=0(所得税ゼロ)
この特例を受けるためには、次の要件が必要です。
@相続または遺贈による財産取得
A相続税を支払っていること
B相続により取得した財産の売却
C相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却であること。
この特例の詳細についてはお気軽にお問い合わせください。
自民、公明、民主の3党は、平成25年度税制改正をめぐり協議の上、富裕層を対象にした所得税と相続税の増税案について下記のとおり合意しました。
1.所得税は、課税対象4000万円超の部分の最高税率を現行の40%から45%に引き上げる。
2.相続税は、課税対象6億円超の部分の最高税率を55%に引き上げる。
また、相続財産2億円超から3億円までの部分の税率も40%から45%に引き上げる。
相続税の税率は現在、財産額に応じて6段階で上がる構造だが、改正により8段階となる。
3.相続財産の基礎控除は、現行「5000万円+法定相続人×1000万円」だがこれを現行から4割縮小した「3000万円+法定相続人×600万円」」とする。
4.居住用家屋の小規模宅地の上限面積を現行の「240u」から「330u」に拡大する。
5.特定事業用宅地の特例(400u)と居住用家屋の特例(330u)の併用適用を認める。
※トータルで730u(約220坪)の土地評価が80%減となります。
上記のとおり相続税は大幅に増額となりそうです。但し、上記4の小規模宅地の特例については適用面積が240uから330uに拡大となりますので、自宅の土地が価格低・面積大の方や金融資産が多い方などは自宅を地価の高い都心部に移すなどして、相続税を大きく節税することが可能となります。
例:自宅敷地 1u10万×10000u=10億円
居住用宅地の特例(330u)により「2640万円」の評価減となる。
上記の自宅を地価の高い都心部に買い替えると?
1u300万×330u=9億9000万円
居住用宅地の特例(330u)により実に「7億9200万円」もの評価額を減額することができます。
※相続税の節税や、資産の買い替え等をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
1.管理料徴収方式
@不動産の所有 個人が所有
A賃貸の方法 個人が借主に直接賃貸
B管理の形態 個人が株主の管理会社に管理料を支払い、その会社が不動産の管理を行う。
C管理料の限度 安全圏で5〜8% 最高でも10%程度
D節税効果 法人に移転できる割合が低いため、年間賃料が5000万円を超える規模にならないと節税効果が出にくい。
2.サブリース(転貸)方式
@不動産の所有 個人が所有
A賃貸の方法 個人が管理会社に賃貸し、管理会社が借主に利益を上乗せした上で転貸する。
B利益の限度 安全圏で7〜12% 最高でも15%程度
D節税効果 法人に移転できる割合が低いため、年間賃料が5000万円を超える規模にならないと節税効果が出にくい。
3.管理会社による不動産所有方式
@不動産の所有 管理会社が所有
A賃貸の方法 会社が直接賃貸
B利益の限度 家賃収入の全額が会社の収益となる。
C節税効果 適正地代(固定資産税の1.5倍〜2倍程度)の支払いが必要となるが、家賃収入の全額を法人の収益とすることができ、その収益を法人が親族等に分散することによって、トータルの税負担を大きく軽減することができる。
小規模宅地の評価減の特例とは、被相続人や同居家族が商売をしている店舗などの敷地や、自宅の敷地について、配偶者や一定の相続人が相続する時には、一定の規模で相続税を減額できる制度です。
この制度は、相続による取得しか適用られず、贈与では適用されません。
小規模宅地の特例を適用すると、下記のとおり相続税を減額できます。
事業用の宅地・・・400uまで80%減額
居住用の宅地・・・240uまで80%減額
貸付用の宅地・・・200uまで50%減額
この特例は、土地の価格がどれほど高額でも適用を受けることができますので、土地の価格が高ければ高いほど、相続税の節税効果も大きくなります。
なお、特例を適用する土地は自由に選ぶことができます。また、選んだ土地が減額対象面積に満たない場合には、それ以外の土地も選択し、複数の土地で適用を受けることもできます。
この特例を受けるためには、いくつかの要件がありますので、相続が起こる前から要件をよく確認し、確実に相続税を減額できるようあらかじめ準備しておくことをお勧めします。
配偶者が遺言や遺産分割協議などにより財産を相続した場合、配偶者の取得した財産の額が配偶者の「法定相続分以下」であれば相続税はかかりません。
ちなみに配偶者の法定相続分は、以下のとおりです。
配偶者と子の場合の相続分・・・・2分の1
配偶者と尊属の場合の相続分・・・3分の2
配偶者と兄弟の場合の相続分・・・4分の3
また、法定相続分以上相続した場合でも、「1億6000万円」までは相続税はかかりません。
この軽減を受けるためには、相続税の申告期限までに「遺産分割協議が成立」している必要があります。申告期限までに協議が成立していない財産は、配偶者の税額軽減を受けることができず、その適用がないものとして納税をしなければなりません。
但し、次の手続をとれば、遺産分割協議が成立した後に、更正の請求をして配偶者の税額軽減を受けることができます。
1.相続税の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する。
2.3年以内に分割協議が成立した場合には、分割の日の翌日から4ヶ月以内に更正請求をして税金の還付を受ける。
3.3年以内に分割できないやむを得ない事由がある場合には、その事由を記載した申請書を3年を経過する日の翌日から2ヶ月以内に税務署に提出する。
4.やむを得ない事由がなくなった日(判決確定日等)の翌日から4ヶ月以内に分割を行い、更正の請求により税金の還付を受ける。
※遺言で配偶者が取得した財産については、この軽減を受けることができます。
※この制度を利用するためには、軽減の結果、相続税がかからない場合でも相続税の申告をする必要があります。
※配偶者の取得財産を増加させると、2次相続時の税負担がかえって増加する可能性があります。
日本で相続税がかかる人・相続税がかかる財産は、次のように決められています。
1.日本の国内財産と国外財産すべてに相続税がかかる人
@相続や遺贈で財産を取得した人で、財産を取得したときに「日本国内に住所」を有している人。
A相続や遺贈で財産を取得した人で、財産を取得したときに「日本国内に住所」を有しておらず、次の要件すべてにあてはまる人。
ア:財産を取得したときに「日本国籍」を有している。
イ:被相続人または財産を取得した人が、相続の開始前5年以内に日本に住所を有したことがある。
2.上記以外の場合は、国内財産にのみ相続税が課せられます。
例:・外国籍で、日本に住所を有していない人。
・日本国籍があるが、被相続人及び相続人とも、相続開始前5年間外国に住所を有している場合。
※国内財産については、外国人が相続(又は遺贈)した場合でも日本の相続税が課税されます。
上記のとおり、日本人であったとしても、被相続人(親)と相続人(子)とが共に相続税がかからないオーストラリア、香港、シンガポールなどに5年以上居住し、国外に移した財産を相続させる場合には、相続税は一切かからないことになります。
武富士の創業者が息子に1000億円以上の株式を無税で贈与した話は有名ですが、世界的にみても相続税が非常に高い日本を嫌い、相続税の節税目的で外国に住所を移す人が増えているようです。
1.基礎控除
現行制度・・・5000万円+1000万円×法定相続人の数
改正案・・・・3000万円+600万円×法定相続人の数
2.最高税率
現行制度・・・50%
改正案・・・・55%
3.税率構造の細分化
現行制度・・・6段階
改正案・・・・8段階
4.死亡保険金の非課税枠の縮小
現行制度・・・法定相続人の数×500万円
改正案・・・・生計を一にしている法定相続人×500万円
上記の改正後は、相続税が課税される相続の数が、4.1%→6%に、相続税を納める相続人の数が11万人→17万人に、相続税の額が1兆2000億→1兆6000億になると予想されています。
特に首都圏では、相続人のうち4人に1人が増税の影響を受けるとの試算もあります。
突然の増税で慌てることのないよう、事前に相続税の節税対策をしっかり行うことが大切です。
養子縁組をすると、以下のように相続税の計算上有利となり税金が安くなります。
しかし、その反面、世代の違う相続人が加わることで、相続人間の話合いがつかなくなり争いとなる場合もありますので、相続税の節税目的で養子縁組をする際にはそのメリット・デメリットをよく考慮する必要があります。
1.養子縁組による相続税の節税メリット
@相続を一代とばせる。
孫を養子にして財産を相続させることで、本来、祖父→子→孫と2回の相続税を納めなければならないところ、祖父→孫と相続を一回とばして直接孫に相続させることができます。
※ただし、孫養子が相続人となる場合(代襲相続を除く)は、相続税が20%加算されます。
A基礎控除が増加する。
相続税の基礎控除は、「5000万円+法定相続人×1000万円」です。
法定相続人が増えることで基礎控除が増加し、相続税額が減少します。
※この規定は、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人まで認められます。
B非課税限度額が増加する。
生命保険金や死亡退職金には、「法定相続人×500万円」の非課税措置があります。法定相続人が増えることでこの非課税限度額が増加します。
※この規定は、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人まで認められます。
C超過累進税率が緩和される。
相続税は、相続人一人あたりの相続分が多ければ多いほど税率が高くなる超過累進税率です。相続人の数が増えることで一人あたりの相続分が減少し、相続税の税率も低くなります。
※この規定は、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人まで認められます。
2.養子縁組による相続税の節税・・・計算例
相続財産 預貯金5億円
相続人が子2人の場合の相続税額 1億3800万円
相続人が子2人+養子1人の場合の相続税額 1億1700万円
差額 1億3800万円−1億1700万円 = 2100万円
駐車場に使用されている土地は原則雑種地として評価されます。従って、賃貸アパートに附帯する駐車場については、原則として貸家建付地ではなく、自用地としての評価となります。
ただし、下記の条件を満たす場合には、賃貸アパートと駐車場を全体として同じ利用単位と考えられるため、その敷地全体を貸家建付地として評価することができます。
貸家建付地として評価される場合は、土地の評価が約2割減額となりますので、大きな相続税の節税になります。
1.賃貸アパートと駐車場敷地が隣接している。
2.駐車場の利用は、賃貸アパートの入居者のみ(入居者専用)である。
上記、2について、駐車場を賃貸アパートの入居者以外にも貸し出している場合は、下記の条件を満たせば賃貸アパートの入居者専用部分について貸家建付地として評価することができます。
1.賃貸アパートの入居者専用部分と入居者以外の駐車場部分を明確に区分している。
2.入居者専用部分の駐車場は、賃貸アパートと隣接している。
土地の相続税評価は、要件を満たす、満たさないで大きく変わります。小規模宅地の特例や貸家建付地の評価減など、土地に関する各種特例は、相続税の節税を図る上でとても重要です。特例適用の可否につきご不安な方は、税理士やファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタントなどの専門家に相談されることをお勧めします。
生命保険金や死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税が課税されますが、この生命保険金・死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
よって、この非課税枠を活用すると効果的に相続税の節税を図ることができます。
生命保険の活用例
相続人 被相続人の子 A B C D の4人
相続財産 預金1億2000万円
相続税 300万円
上記の預金の内、2000を一時払いの生命保険とすることにより・・・
相続人 被相続人の子 A B C D の4人
相続財産 預 金 1億円
生命保険金 2000万円
相続税 100万円
上記のケースでは、預金の内2000万円を生命保険とすることにより、200万円相続税の節税を行うことができました。
但し、生命保険取得者の内、上記の非課税枠を利用できるのは「相続人」だけですので、「相続放棄をした人」や「相続人でない孫や兄弟」などが保険金を受け取った場合は、その全額が相続税の課税対象となります。
生命保険の契約をする際には、誰が受取人か(相続人か否か)によって、相続税の額が変わりますので注意が必要です。
相続税を節税する上で最も効果が大きい「小規模宅地の特例」の制度が、平成22年4月に改正されました。この改正は、ほとんど告知されずに改正されたため、いまだに自己の相続税の節税効果が大幅に減少していることを知らない方が多数存在してます。
例えば、
1.「賃貸マンションを建築して、最上階に居住すれば、土地の相続税評価額が240平方メートル(約73坪)まで8割減額できるので相続税の節税になりますよ」とデベロッパーに説明されて、そのとおりに建築した方。
このケースでは、
「賃貸部分の床面積に対応する敷地については5割減、居住用部分の床面積に対応する部分については8割減」と減額幅がかなり縮小されています。
このような形態の賃貸マンションは首都圏に非常に多く存在しています。デベロッパーから「賃貸住宅を建てて最上階に住めば、敷地が8割引きになりますよ」と言われ、相続税の節税の為に住居兼賃貸住宅を建築された方は、賃貸住宅の床面積に対応する敷地部分の減額幅が8割ではなく5割に改正されていますので、相続税が大幅に増額となる可能性があります。
該当する方は、早急に相続税の試算をし必要な対策を検討したほうがよいでしょう。
上記の他、次のような改正がなされています。
2.居住用宅地、事業用宅地、貸付事業用宅地の居住・事業非継続の場合の減額規定が廃止されました。
3.特例の適用要件が相続人ごとに判断されるようになった結果、改正前は母親が土地を1割相続、別居の息子が9割相続しても、土地の全体について8割減されていたのが、平成22年4月以降は、息子の9割部分については一切減額されなくなりました。
この小規模宅地の特例の改正(厳格化)の影響はすでに少しずつ出始めています。
国税庁が発表した平成22年度の相続税の課税状況によると、全国の相続税の課税対象者は4万9733人で、亡くなった人に占める割合は4.2%。しかし、首都圏では7%と0.4%増加しています。さらに、地価が高い千代田区では実に23%もの相続で相続税が課税されており、特に地価が高い地域で改正による影響が出ています。
この小規模宅地の特例改正による課税割合への影響は、平成23年度、24年度と次第に増加していくことが予想されます。さらに平成27年度から改正が予定されている相続税の増税が加わりますので、首都圏では3割前後の相続で相続税が課税されるようになる可能性があります。
そのため、首都圏で資産をお持ちの方は、小規模宅地特例の適用要件の確認や、その他の節税策をできるだけ早い段階から考えておいたほうがよいでしょう。
平成24年1月1日に相続が発生した場合の相続税申告までの手続の流れは以下のようになります。
相続税の節税を検討する上でも、申告までの手続の流れを理解しておくことはとても重要です。
1月1日〜
1.被相続人の死亡
2.死亡届の提出・・・死亡から7日以内
3.葬儀・・・領収書の整理・保管
4.49日法要
5.遺言書の有無の確認・・・自筆証書遺言の場合の検認手続
6.相続財産・債務の確認
7.相続人の確定
8.相続税額の確認
9.納税資金の確保、相続税の節税策の検討
3ヶ月以内
10.相続の単純承認・相続放棄・限定承認の選択
4ヶ月以内
11.被相続人に係る所得税と消費税の申告・納付
6ヶ月以内
12.根抵当権・抵当権の相続の登記・・・銀行との調整
13.遺産の調査・評価
14.遺産分割協議
15.遺産分割協議書の作成
16.未分割財産の調査
17.相続税の申告準備と申告書の作成
10ヶ月以内
18.相続税の申告・相続税の納付
19.各相続財産の名義変更
地主の相続税の節税対策として代表的なものに「遊休地などにアパートやマンションなどの貸家を建てて評価額を下げる」方法があります。
この方法は、賃貸経営として採算がとれるのであれば相続税を節税する上で非常に効果的です。
以下に、どのような理由で相続税の節税効果をもたらすのか、そのしくみをご説明します。
1.土地の評価が下がる。
土地にアパートやマンションなどの貸家を建てると、その土地は「貸家建付地」となり評価額が約20%下がります。
2.建物の評価が実際の建築費よりも下がる。
アパートやマンションの建築費に1億円かけた場合、建物の相続税評価額は建築費の約60%程になりますので、現金と比べて約40%程度、評価額を減額することができます。
さらに、アパートなどの貸家は、自己使用家屋の70%で評価されますので、最終的に、1億円で建築したアパート等の貸家は、4000万円程の評価となります。
※現金で持っていた場合と比べて60%も評価を減額することができます。
3.計算例
対策前・・・土地の評価額1億円
現金 1億円 (相続税評価額2億円)
対策後・・・上記の土地の上に現金1億円でアパートを建築すると?
土地・・・1億円×(1−70%×30%)=7900万円
建物・・・1億円×60%×70% =4200万円
対策前(評価額2億円)と対策後(評価額1億2100万円)を比べると7900万円の評価減になります。
仮に相続人が1人だとすると、対策前(評価額2億円)の相続税は3900万円、対策後(評価額1億2100万円)の相続税は1130万円となり、実に2770万円も相続税を節税することができます。
但し、アパートを建築して相続税を減らせても、肝心のアパート経営で採算がとれなければ本末転倒です。(バブル期には、「相続税の節税になるから」と建築会社や銀行員にそそのかされてアパートを建築し、採算が採れずに破産するケースが多発しました。)
相続税の節税の為にアパート建築をお考えの方は、周辺地域の人口動向や立地条件等をよく調査し、「本当に採算がとれるのか?」を慎重に検討したうえで判断されることをお勧めします。
20年以上連れ添った夫婦間では、自宅や自宅を取得するための金銭を、2110万円まで無税で贈与することができます。この贈与は、贈与後3年以内に贈与者が死亡した場合の「生前贈与加算」の適用がありませんので、相続税の節税対策にも効果的に活用できます。
また、何らかの理由で自宅を売却する場合には、この制度により自宅を贈与した後に夫婦共有で売却をすれば3000万円の特別控除を2人分(計6000万円)適用できますので、譲渡所得税の節税にも活用できます。
但し、この制度の適用を受けるためには下記のような要件がありますので、ご利用の際は十分ご注意ください。
@婚姻の届出があった日から贈与した日までの婚姻期間が20年以上であること。
A贈与財産が居住用不動産、または居住用不動産を取得する為の金銭であること。
B贈与された配偶者が、翌3月15日までに住んでいること。
Cこの特例を受ける旨の贈与税の申告書を税務署に提出すること。
小規模宅地の特例とは、相続や遺贈によって取得した土地のうち、一定要件のもと、居住用の土地については240uまで80%の評価減、事業用(貸付事業を除く)の土地については400uまで80%の評価減、貸付事業用の土地については200uまで50%の評価減ができる制度です。
この制度をうまく活用すれば、相続税の評価額を大幅に減額することができます。
例えば、坪100万円の賃貸用の土地を500坪もっている場合は、約60坪分の評価額を50%減額することができるので、全体の評価額は
(440坪×100万円)+(60坪×100万円×0.5)=4億7000万円となりますが、この土地を都心の坪1000万円の土地50坪に組替えた場合は50坪×1000万円×0.5=2億5000万円にまで評価を減らすことができます。これが居住用の場合には約70坪まで80%、事業用の場合には約120坪まで80%減額することができます。
広大な土地を保有する大地主か・・高価値の土地を保有する高地主か・・土地に対する考え方を変えると、相続税を大きく減らすことができます。
通常の暦年課税
贈与者・受贈者・・・だれでも可
選択届 ・・・不要
控除の額 ・・・毎年110万円までは無税
税率 ・・・贈与の額により10%〜50%
相続時の扱い ・・・原則として、毎年の納税で課税関係は完了。但し、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加える。
相続時精算課税
贈与者・受贈者・・・60歳以上の親から20歳以上の子(孫)への贈与であることが必要
選択届 ・・・選択届の提出が必要
控除の額 ・・・累積で2500万円までは贈与税はかからない。
税率 ・・・2500万円を超える部分につき一律20%
相続時の扱い ・・・贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算。納めた贈与税は相続税から控除する。相続税額より納めた贈与税額のほうが多い場合は、超える額が還付される。
この両制度は、どちらもメリット・デメリットがありますので、相続税の節税を目的として両制度を選択する際は、財産の総額、被相続人の年齢、相続人の構成、納税資金の有無等を踏まえて、よく検討する必要があります。
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