相続発生後、遺言の内容を実現するためには、実に多くの手続を行う必要があります。
例えば、受遺者への遺産引渡し、不動産の所有権移転登記、預貯金の解約・名義書換、有価証券の名義書換、資産の売却、貸付金の回収、相続人の排除や相続財産に関する訴訟行為など・・手続の中には遺言執行に関して法的な専門知識が要求されるケースも少なくありません。
また、相続人間の利害が対立し、各相続人が遺言の手続に協力せずに遺言執行が進まないケースや、各相続人が勝手に財産を処分してしまい受遺者に財産を引き渡すことができないといったケースも多く見受けられます。
このような場合に、遺言の執行に必要な各手続を、第三者の立場から公平・確実に実行するために設けられているのが『遺言執行者(いごんしっこうしゃ)』の制度です。
遺言により遺言執行者が選任されている場合、遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。この場合、各相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができません。さらに、相続人やその他の者が相続財産を勝手に売却した場合、その売却行為は無効となります。
遺言執行者を選任しなくても、遺言内容が実行されないわけではありません。しかし、争いの発生を未然に防ぎ、遺言の内容を確実に実現するためにも、遺言書を作成する際には、遺言執行者を選任したほうがよいでしょう。
※遺言執行者は、就任後遅滞なく、相続財産目録を作成して相続人に交付しなければなりません。
※相続人の請求があるときは、その立会いのもとに財産目録を作成し、もしくは公証人にこれを作成させなければなりません。
財 産 目 録(見本)
1 土 地
2 建 物
3 現金 金700万円
4 貸金債権
5 投資信託
6 預貯金
7 株式
8 国債
9 その他動産等
10債務等
平成30年10月1日 |
※遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
※遺言執行者がある場合には、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができません。
※遺言執行者がある場合に相続人やその他の者が相続財産を無断で売却した場合、その売却は無効となります。
※受遺者への目的物の引渡し
※不動産の名義変更
※遺産を売却して金銭で交付する場合には、遺産の売却を行います。
※遺言による認知の届出
※遺言による未成年後見人の指定及び未成年後見監督人の指定
※遺言による推定相続人の廃除及び排除の取消しに関する家庭裁判所への請求
※貸金庫の開扉
※預貯金の払戻し、名義の書換え
※株式の引渡し、名義の書換え
※遺言による生命保険金受取人の指定、変更 など
民法1006条(遺言執行者の指定)
@遺言者は、遺言で、1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
A遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
B遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
民法1009条(遺言執行者の欠格事由)
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
民法1012条(遺言執行者の職務権限)
@遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
A第644条乃至第647条及び第650条の規定は、遺言執行者にこれを準用する。
民法1013条(相続人の処分権喪失)
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
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